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2021/09/09

北欧の名作家具「OW149/コロニアルチェア」

北欧の名作家具「コロニアルチェア」

こんにちは。Tukuroi(妻)です。

今回はお店で取り扱いのある家具についてのお話をさせていただこうと思います。

Tukuroiでは北欧のヴィンテージ家具の取り扱いと同時に創業113年、デンマークの老舗家具メーカー、カールハンセン&サン社の家具も販売しております。

夫婦とも北欧のヴィンテージ家具がもともと好きだったこともあり、お店を始める前はカールハンセン&サン社の家具について、深くは知りませんでした。

幸運なことに、Tukuroiで取り扱いをさせていただけることになり、実際に見て、触れて、使っていく中で、その素晴らしさを知りました。

(そして現在もデンマーク家具の歴史やデザインついて日々勉強です・・・)

古くから愛され続け、今もなお名作として高い人気を誇る北欧家具。

こちらのブログでも私たちが感じたことを中心に紹介していきたいと思っております。

 

そして今回は、1949年にオーレ・ヴァンシャーによりデザインされた「OW149/コロニアルチェア」をご紹介いたします。

 

 


 

 

 

 

デザイナー、オーレ・ヴァンシャーってどんな人?

 

 

「デンマーク家具デザインの父」と言われた、コーア・クリントの後継者と言える人物で、ヴァンシャーが52歳の時(1955年)、デンマーク王立芸術アカデミー家具科の教授にも選ばれています。

代表作の多くは、1940年~1950年代にかけて発表されており、師であるクリントの教えのひとつである「リ・デザイン」の手法を用い、気品あふれる作品をデザインしています。

家具デザイナーとしてばかりではなく、美術史学者の父の影響で、世界中の家具の歴史を研究し、本や論文を発表する学者としての一面もありました。

 

 

【OW149/コロニアルチェアってどんな椅子?

 

デザイン

オーレ・ヴァンシャーがデザインした椅子の多くは「優雅」な雰囲気を持つものが多く、「OW149/コロニアルチェア」もまさに優雅という言葉がぴったりなアームチェアです。

その理由としては、細く緩やかなカーブを描くフレームのデザインにあると思います。

肘掛けの絶妙なカーブはついつい手を置きたくなってしまいます。

全体的に細く華奢なフレームですが、後脚の外側に向かうカーブなど、考え抜かれた構造により、安定性と強度を配慮したデザインとなっています。

そしてアームの先端の丸みや脚の先端のデザインなど、全体的に平面な部分がないことで、手触りだけでなく目にも優しいデザインです。

 

 

 

 

作り

オーレ・ヴァンシャーは、機械での量産を前提とした家具もいくつかデザインしており、その中のひとつとして「OW149/コロニアルチェア」がデザインされています。

優雅な雰囲気を保ちつつも、各部材を効率よく加工出来るように配慮されているのです。

例えば、座面と背もたれのレザークッションは、フレームに張り込むのではなく、置くだけの独立したデザインとなっています。

座面は、籐編みの四角い枠が独立した状態になっており、最終の組み立て段階でフレームにはめ込むことが出来るよう考えられています。

 

 

 

 

 

座り心地

レザークッションの中には、ウレタンチップとフェザーが使用されています。

フェザーだけでは沈み込みすぎる、ウレタンだけでは硬すぎる為、両方使用することで柔らかすぎず、硬すぎない絶妙な座り心地となっています。

 

 

 

身長158cmの私が座るとこんな感じです。椅子のような感覚で座ることが出来る反面、同種類のオットマンを一緒に使うとリラックスチェアとしてくつろいで座ることが出来ます。

 

 

 

 

体格に大きな差のある店主(189cm)が座るとこんな感じです。

 

 

 

メンテナンスは?

私たちも日々お店で家具のお手入れをしますが、「OW149/コロニアルチェア」は特にお手入れがしやすいと感じます。

ホコリやゴミが溜まりやすい隅の部分なども、クッション、籐編みの座面、全て取り外してお手入れが出来るからです。

普段は、パーツを取り外しながら埃をはらい、レザークッションは柔らかい布で乾拭きをしています。

レザークッションは、定期的に(半年~1年に1回程度)レザー用のクリーム等を塗って表面を保護してあげるとより長くお使いいただけると思います。

メンテナンスをしてあげないと、人間の皮膚と一緒で、レザーが段々と乾燥していき、ひび割れや破れの原因になってしまいます。

レーザークッションは、傷んでしまい使えない状態になった場合、メーカーにてクッション単品での購入が可能です。より安心してお使いいただけますね。

 

〈フレーム(木部)の汚れが気になった場合〉

汚れが深くない場合は、ソープメンンテナンスでお手入れし、仕上げにオイルを塗ります。

 

ソープメンテナンスとは・・・石鹸の泡で優しく洗い、汚れを取るメンテナンス方法です。

※木部が経年変化している場合、汚れている部分だけに行うと周りと色の差が生じる場合がございます。その場合は、広い範囲、または全体的に行うことをおすすめします。

 



デザインされて70年以上経つ名作「OW149/コロニアルチェア」。

私たちが「OW149/コロニアルチェア」を初めにご紹介したいと思ったのは、デザインや使い勝手はもちろんですが、長く使うことを考えた際にとても機能的に出来ているな、と感じたからです。

メンテナンスをしながら長く使い続けることで、家具への愛着が増していくと同時に、そんなお気に入りの家具に座って過ごす時間こそが、毎日をちょっと幸せにしてくれる大切な時間になるのではないかと思います。

 

 

 

今回ご紹介した「OW149/コロニアルチェア」は、Tukuroi店頭にてご覧いただけます。

その他の詳細は、「menu」画面の「contact」にてお問い合わせ下さいませ。

 

価格/¥343,200(税込)

仕様/オーク材・オイル仕上げ・ダークブラウンレザー(Thor306)

※展示入れ替えの為、展示品のみ10%OFFにて販売しております。

※同じ仕様のもので取り寄せの場合、納期は約5ヶ月程になります。

※オットマンは別売りになります。

2021/07/25

「欠けリペア」ワークショップを終えて

「欠けリペア」ワークショップを終えて

こんにちは。Tukuroi(妻)です。

夏は苦手な私ですが、長い梅雨が明けた頃、セミが鳴き出したのを聞いて、夏が来た!とはっきりと感じ、何だか嬉しくなりました。

長女の夏休みも始まり、それにしても毎日元気に遊んでいるので、感心してしまいます。

出掛けただけで疲れてしまうアラフォーの私は、せめて夏の暑さに負けないように、と体力作りの筋トレを始めてみました、、、笑

 

そんな夏の始まりに、第1回目のリペアワークショップを行いました。

内容は「欠けのリペア」。

6名の参加者のうち、5名はご自宅でお使いの家具を持ち込み、ご自身でリペアをされました。

お持ちいただいた家具は、チェストの引き出しを落としてしまった際にできた小さな欠けや、遊び盛りのお子さまがいらっしゃるお家で使われていて、たくさん欠けのあるソーイングワゴン。

ダイニングテーブルの天板をお持ちいただいた方も。

お話を聞いていると、皆さまそれぞれに思い入れがあり、大事に使われている家具たち。

これは満足してもらえる仕上がりになるよう、こちらもできる限りのサポートをしなければ!とさらに気合いが入りました。

 

そんなことを思いながら、いざ作業スタート。

それぞれ木の素材や仕上げ方法、傷の状態が違うため、今回は2通りのやり方をご用意し、その家具に合ったやり方で作業をしてもらいました。

2通りとは言え、状態によって作業工程はさまざま。

リペアを指導する店主は行ったり来たりで目まぐるしく動いておりました。

私も側で見ていて、家具リペアの奥深さを改めて感じました。

 

リペアを終え、仕上がった家具を見ながらお話しする中で、印象的だったこと。

それは参加者の皆さまがご自身で直した!という喜びに満ちていたことです。

もしかするとプロが直した方が更にキレイに仕上がったかもしれません。

しかし、そこでしか得られない「何か」をご自身でリペアをされる中で感じていただけたのではないかな、と勝手に思っています。

それは「達成感」なのか、「愛着」なのか。

人それぞれだとは思いますが、楽しかったです!と皆さまに言っていただけたことが、私たちは何よりとても嬉しかったです。

 

初のワークショップ。

そわそわとしている中で素晴らしく仕上がった家具たちの写真を撮り忘れるという大失態。

ぜひご紹介させていただきたかったです、、、

(ワークショップ途中の様子はいくつか添付いたしましたので、ご覧ください)

 

次回は家具を長く使うために必要なメンテナンスのワークショップを秋口にできたらな、と考えています。

少し先になりますが、詳細が決まりましたら、またお知らせいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

2021/06/21

「欠けリペア」をリポートします

「欠けリペア」をリポートします

こんにちは。Tukuroi(妻)です。

今回は前のブログで少しお話しした、家具リペアのワークショップのことをご紹介したいと思います。

 

気に入って買った家具が、使っているといつの間にか丁寧に扱うことから遠ざかってしまい、お手入れもままならない状態に…。

気になっているけど、家具のリペアやメンテナンスに対してハードルが高い、と感じていらっしゃる方も多いのでは?と思います。

私もマメな方では無いですが、お店でリペアして仕上がった家具が本当に綺麗によみがえっているのを目にして、リペアやメンテナンスの大切さを日々感じています。

 

家具のリペアやメンテナンスをより身近なものとして、生活の一部に取り入れていけたら良いなと思ったのがワークショップをやろうと思ったきっかけでもあります。

お手入れをすることで愛着がわき、家具を長く使うことにも繋がると思っています。

 

 

第一回目となるワークショップの内容は「欠けリペア」です。

家具にできてしまったちょっとした欠け。例えば、ものをぶつけてしまい縁の一部が欠けてしまった、長年使っている家具の一部がいつの間にか欠けていた、など。

 

欠けのリペアといっても、どんなことをするの?とお思いの方もいらっしゃると思います。

そこでこちらのブログで先日私が店主に欠けリペアを取材した内容をご紹介させていただこうと思います。

 

 

約50年~60年前に作られたヴィンテージの家具は、入荷時の状態が良いもの、良くないものと様々ですが、ほとんどに行うのが欠けのリペア。

今回はヴィンテージチェストの引き出しの欠けを直しました。


 

 

 

家具の状態や材質により、やり方や使う道具が変わりますが、今回は熱で溶かしたパテで補修箇所を埋めるやり方で行いました。

 

 

まずは家具の色と合うパテを選ぶところから始まります。

実は一番難しいのが色合わせ。補修箇所と周りの色を初めから全く同じ色にすることは難しいので、薄めの色から選んで後から濃い色のパテを足していきます。

熱したヘラでパテを溶かして、補修箇所を埋めます。

 

 

 

補修箇所と周りの色が合い、パテが固まったら、ノミで大まかに削り、サンドペーパーで平にして形を整えます。

 

 

 

 

最後にオイルを塗装して完成!

 

 

 

パテによる欠けリペアの難しさは、色合わせにあります。

違う材質のものを、全く同じ色や質感にするのには限界がありますが、それをいかに自然に仕上げるか、そこには経験と感覚(そしてセンス!?)が必要だと感じました。(でもそこに面白さもありそうです!)

 

ワークショップでは、家具の状態にもよりますが、もう少し手軽に扱える材料で行う予定です。

日程などの詳細は改めてお知らせいたしますので、ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせ下さいませ!

 

 

 

2021/06/09

はじめまして。Tukuroi(妻)です。

今までこちらのブログで書いてきた、店主のリペアの仕事に至るまでの話。

一体どれくらいの方が見てくださっているのか、謎ではありますが、、、

今回からは、私(妻の方)も少しづつ書いていこうと思いますので、皆さまどうぞよろしくお願いします。

店主のリペアに対する熱い熱い思い(私の個人的な感想です…笑)とは少し温度差があるかと思いますが、コーヒーを片手にお時間がある時にでも読んで頂けると嬉しいです。

 

Tukuroiはお店としてスタートして、今年の8月で丸2年になります。

普段は今やるべき事や、これから先のことを考えることの方が多いので、今までをゆっくりと振り返ること無く、ここまで来たような気がします。

 

これまでTukuroiは「家具を修理すること」と「北欧家具を販売すること」この二つを軸にやって来ました。

私たちにとって両方やりたい事で両方必要です。

でもこの2つのバランスの取り方に正直今までずっと迷い続けてきました。

 

当初は、自宅で家具の修理だけをやっていました。

しばらくして自宅での修理作業に限界を感じ、今の建物を借りることになりました。

そしてその建物は作業だけをするのには十分過ぎるスペースがありました。

 

そこで色々考えた末、元々いつかやりたいと考えていた北欧ヴィンテージ家具の販売も

同時に始めることに決めました。

 

修理の仕事も頂きつつ、家具を見に来て下さる方も少しずつ増えてきました。

それと同時に、Tukuroiとして何をしていきたいのか?何を伝えたいのか?と考える日々。

そして行き着いたのが、やっぱり「家具を修理しながら長く使うこと」を伝えたいという思いです。

 

修理の依頼をしてくださる方の中には「家具の修理をしてくれるところがあまり無い」とか「家具を買ったお店がもう無くて修理をお願い出来なくて」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

そんなお客様が喜んでくれることが私たち自身も嬉しいし、やっていて良かったな~と思える瞬間です。

 

そして今、私たちだから出来ることをもっと伝えたい!という思いと、いつもお世話になっている方々からのアドバイスもあり、そんな思いを形にするべくお店のリニューアルを考案中です。

もちろん行うのは店主と私の二人だけなので、プチリニューアルといったところになりますが、楽しみにお待ちいただければと思います。

 

7月頃からはずっとやりたいと思っていた、修理のメンテナンスやリペアのワークショップなども定期的に行っていきたいと考えております。

 

そして今後も私からはお店の情報を中心にこちらのブログでご紹介していきたいと思います。

 

 

2019年のオープン時の写真です。

2019年のオープン時の写真です。

 

2021/03/25

クラフトマンシップ

「クラフトマンシップ」

 

日本語だと「職人の技能」、「職人芸」、「技巧」などと訳されます。

 

言葉では一言で終わってしまいますが職人の技術は一朝一夕にはできません。

 

人類の歴史の中で代々、受け継がれてきた木工技術。

 

それを受け継いだ職人は数え切れないほどの失敗を繰り返し、悔しい思いをし、試行錯誤をしながらようやく形にする事ができます。

 

そして「もっと良いものを」という思いを持ち続け、さらに高みを目指しています。

 

色々な職種の職人の方がいますが、おそらく「完璧なものを作った」と思う人はほとんどいないのではないでしょうか?

 

何かしらの改善点が毎回あります。

 

自分自身もこれまでに完璧な修理はした事はありません。

 

「あの時こうすれば良かった」、「もっと上手くなりたい」、「もっと綺麗に仕上げたい」と日々思っています。

 

 

 

 

Yチェアを作っている会社で有名なデンマークの老舗家具メーカー、カールハンセン&サン(以下カールハンセン)。

 

社名のロゴの下には「PASSIONATE  CRAFTMANSHIP」と書かれており、「クラフトマンシップ」をとても大事にしています。

 

※Passionate・・・情熱的な

 

 

家具職人だった創業者•カール・ハンセンの「家具」、そして「ものづくり」への熱い思い。

 

ウェグナーや様々なデザイナーと共に作り上げてきた最高品質の家具。

 

その自信と誇りが今の家具職人の方に脈々と受け継がれていると感じます。

 

 

 

 

ご来店されるお客様からよく「素敵な家具ですね」と言われることがあります。

 

北欧家具ということは知らず「作っているのですか?」と仰る方もいます。

 

その度にデンマークで作られている事、今から約70年前にデザイン、製作された家具でずっと受け継がれている事をご説明します。

 

北欧家具やブランドを知らなくても国を超えて「素敵な家具」と思ってもらえるという事は作り手としてはとても嬉しい事だと思います。

 

 

 

 

自分がカールハンセンの家具でクラフトマンシップを特に感じたのはダイニングテーブル「CH006」を見た時でした。

 

ウェグナーがデザインし、そのデザイン性、機能性、メンテナンスのしやすさ等、本当におすすめできる一生モノの家具です。

 

そのテーブルの天板の裏がとても綺麗に仕上げてあります。

 

 

前職で国産家具や輸入家具など色々なテーブルの修理をしてきましたが、テーブルの裏を綺麗に仕上げているのをほぼ見たことがありません。

 

実際に見えない所であり、そこまで綺麗に仕上げなくても機能的には問題ありません。

 

裏を綺麗に仕上げるということは、表と同じ面積なので単純に手間が2倍かかります。

 

このテーブルはその手間をかけて表と同じように綺麗に研磨し仕上げてあります。

 

そこに自分はウェグナーやカールハンセンの「どこを見ても美しいように」というプライドと美学、そして大切な資源である「木」に対しての敬意を感じました。

 

 

 

 

自分がいつも心掛けているある職人の方の言葉があります。

 

「心を込めて仕事をする」

 

当たり前のことですが、ついつい忙しさや効率を優先しすぎて忘れてしまいがちです。

 

クラフトマンシップとは単に高い技術だけのことを言うのではなく、使う人や運ぶ人など様々な関わる人達、しいては材料である「資源」のことまで考えて「心を込めて」ものづくりをする。

 

カールハンセンの家具を見てそう感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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