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2020/12/08
改めて自己紹介②「職業訓練校」
自分は一体何がやりたいのか?
24歳の時、先が見えず悶々としながら、自己啓発本、歴史小説など色々な本を読み漁りながら自分探しをしていました。
「三国志」を読んでは趙雲子龍(ちょううんしりゅう・※脇役の登場人物)に憧れ、「竜馬がゆく」を読んでは坂本龍馬のような生き方をしたい...。
そんな将来について悩んでいた時に出会ったのが1人の家具職人の方でした。
当時勤めていた会社の商品である、雑誌などの撮影や展示会にレンタルする家具は、撮影スタジオなどでよく動かすということもあり、しょっちゅう壊れることがありました。
素人ながらに直そうとするも綺麗には直らず、会社の知り合いでもあった家具職人の方へ修理を依頼していました。
その方の工房は、廃校になった小学校の図工室だった所で、初めて見た時、心が躍ったことを覚えています。
見たこともない機械、道具の数々。
工房の中に充満した木の匂い。
職人の方の作業する姿、そして工房で淹れるコーヒーを飲みながらの一服する姿がとてもカッコよく、何より自分だと綺麗に直せなかった壊れた家具を生まれ変わったように直すのを見て、自分も家具職人になりたい、と思いました。
どうすれば家具職人になれるのか?
色々と調べて「職業訓練校」という存在を知りました。
家具を作るための基本的な技術、知識が学べ、しかも1年間失業保険をもらいながら学べる。
まだまだ転職というのがあまり良いイメージではない時代です。
正直、葛藤もありましたが「行こう!」と決断しました。
職業訓練校に入るためには試験と面接があり、今までろくに勉強してこなかったので中学校の数学の勉強を必死でやりました。
そうして運良く、2009年、26歳の時に品川にある職業訓練校の木工技術科に入り、1年間家具作りの基本を学ぶことになりました。
訓練校ではノコギリや鉋、ノミなどの手工具や機械の使い方、木材をはじめ材料、製図、家具の歴史など家具を作る上での基本的な事を数多く学びました。
訓練校に行き3ヶ月ほど経っってからは、授業が終わった後、憧れでもある家具職人の方の所へ見習いとして工房に通い、夜中まで仕事の手伝いをやっていました。
もっと上手くなりたい、もっと知りたいと新しいことを日々学んでいましたが、今振り返り「楽しかったか?」と思うと辛かったことの方が多かった気がします。
訓練校の同期は30人いて、技術が上手な人はたくさんいました。
技術を身につけたいと思って刃物の研ぎや加工などの練習をしてもすぐに上手くなるわけではありません。
なかなか技術が上手くならない、という悔しさやもどかしさもありましたが、何よりお金が無いのが辛かった。
失業保険をもらえると言っても、同年代の給料と比較したら6、7割位しかありません。
家賃と日々の食費、生活費、定期代でほぼ無くなります。
大学の同期は社会人になって4年目位なので、給料も少しづつ上がり、スーツもちょっと良いものを買ったり、飲み会に行ったりととても羨ましく思っていました。
お金が無いので飲み会はほとんど断り、友達と会う時も、当時妻と同棲していた尾山台という所から渋谷や新宿まで、電車で30分位のところを自転車で行ったりしていました。
あの時はまわりの同年代への劣等感を持ちつつ、「家具職人になりたい」という思いで必死だった記憶です。
そんな思いを持ちつつ、1年間訓練校で学び、いざ就職をしようと思っていましたが、ちょうどリーマンショックが起きた後だったので就職先がほとんどありませんでした。
例年なら家具職人の求人がたくさん来るみたいだったのですが、その年は数件。
訓練校の同期も自分の知る限り30人中、半分位は違う仕事に就いたと聞きました。
自分は家具職人の求人をネットやハローワークで探していたのですが、なかなか見つからず、たまたま見つけたのが「北欧ヴィンテージ家具のリペアスタッフ募集」の求人でした。
当時は家具を作る仕事をしたいと思っており、まだ北欧家具のこと、そして今では本業でもある家具のリペアという仕事の魅力も分かりませんでしたが、背に腹は変えられず、吉祥寺にある北欧ヴィンテージ家具屋さんに就職することになりました。
つづく...。